Orthopedics

整形外科・人工関節センター

変形性脊椎症とは、加齢に伴い骨の棘ができたり背骨の関節が変形したり、椎間板や脊柱靭帯(黄色靭帯など)が変形し生じる一連の病態をいいます。それに伴い首や腰の痛み、手足の痛みやしびれ、麻痺を生じ日常生活に様々な制限が生じます。症状によっては早めの治療を要する疾患もあります。
近年高齢化社会に伴い当院においても腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、腰椎変性すべり症、頸椎症性脊髄症等の患者様も増加しており、日常生活でお悩みの方は一度当院専門医にご相談下さい。

 

頸椎症性脊髄症(頸髄症)

加齢による首の骨(頸椎)の変化に伴い、骨の棘や飛び出した椎間板、肥厚した黄色靭帯などにより脊髄が圧迫された状態を頸椎症性脊髄症といいます。
症状としては手足のしびれや感覚障害、お箸を使うなどの手の細かい作業がしづらくなったり(巧緻障害)、ひどくなると足がもつれる感じや階段で手すりがないと歩けないといったような症状が出始めます。
主な治療は、手足のしびれや感覚障害のみであれば内服で経過をみますが、巧緻障害や歩行障害がある方は症状が悪化する前に手術が必要となることがあります。
手術は首の後ろを切り脊髄の通り道を広げ神経の圧迫をとります。手術後は頸椎カラー固定をし翌日より歩くことができ、入院期間の目安は約1週間から10日間です。頸椎カラーは約2週間装着します。
頸椎症性脊髄症は軽微な外傷で手足の麻痺する可能性があり、また脊髄は一度痛むと早く治療をしなければ改善しにくくなるため、症状がある方は一度早めに専門医にご相談下さい。

 

腰部脊柱管狭窄症

脊柱管は背骨、椎間板、黄色靭帯により囲まれた神経が通るトンネルです。加齢による変形で脊柱管が狭くなり圧迫されると、おしりから下肢にかけて痛みやしびれが発生し、ひどくなるとおしっこの出が悪くなったりこの疾患の特徴である間欠性跛行が生じます。これは長い距離を歩くと徐々に下肢に痛みやしびれが生じ、前かがみになったり腰を掛けて休むとまた歩けるようになったりという症状で、治療が必要になる患者さんの多くが日常生活でお困りになっております。
主な治療は、痛み止めや血流をよくするお薬を服用し半数以上の方は症状が軽減されますが、それでも改善されない方は日帰りでできる仙骨裂孔ブロックや神経根ブロックの注射を行い様子をみます。
狭窄の程度が強く症状が改善しない場合は神経の圧迫をとる手術を要します。
当院では棘突起縦割法という手術法で、なるべく背中の筋肉を傷めない方法での狭窄の原因となっている黄色靭帯や骨を削り神経を広げます。そのため多くの方は数日後には歩くことができ約1週間から10日間で退院されております。また腰椎変性すべり症による脊柱管の圧迫で、腰の曲げ伸ばしで背骨に動きがあり腰椎の不安定性がある方はチタン製のスクリューや人工骨を用い背骨の間(椎間)を固定します。その場合は腰椎コルセットを約3ヶ月装着していただき、入院期間の目安は約3〜4週間です。
症状によっては早めの治療が必要になることもあり、お悩みの方は一度専門医にご相談ください。

 

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板は水分を含んだゼリー状の髄核と周りの繊維輪でできており、弾力性があり背骨と背骨の間(椎間)でクッションの役割をしております。腰椎椎間板ヘルニアとは、この椎間板に強い力が加わったり、加齢により水分を失い繊維輪に亀裂が入り髄核が外に飛び出した状態をいいます。
腰椎椎間板ヘルニアは比較的若い方にみられ、ヘルニアにより神経は圧迫されると腰痛に加え強い下肢の痛みやしびれを生じたり、ひどくなると下肢の力が入らずらくなり、つまずきやすいなどの運動障害が生じます。
主な治療は、なるべく安静にして痛み止めの内服や腰の牽引を行い様子をみますが、痛みが強い方は神経根ブロックの注射を行います。それでも痛みや運動障害が改善しない場合は飛び出したヘルニアをとる手術を要します。手術は前日に入院し多くの方は術後翌日より歩くことができ、入院期間の目安は約1週間です。
症状が強く日常生活に支障があったり、薬を飲んでもなかなか改善しない方は一度専門医にご相談ください。