Column

病院長コラム

師走と新型コロナウイルスと

日本全国に明らかに大きな第三波が訪れています。「医師、看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師」すべてが出血的かつ全速力で「走り回る」文字通りの「師走」となりました。ただ現在の政府の根本方針は「最大限の自衛をしてほしい」ということだと思います。しかし「3密」は今や知らないものはなく、東京では「5つの小」も叫ばれていて、すでにほとんどの国民は日頃より最大限の自衛をし ているものとは思われます。もちろん感染症対策に「しすぎる」ということはありません。こうしておけばもう大丈夫ということはないのです。では今私達は何を考え、何をすべきなのでしょうか。

第一に、それぞれの防護知識の範囲で常に悔いが残らないような対策をとることです。あのときああしておけばよかったということを後から思わなくても済むように、日々常に反省の上にたって最善を尽くすこと。第二は基本に常に立ち返ること。3密と言う言葉は流行語大賞にもなりましたが、3つの密をすべて言える人は多くないと言われています。「5つの小」についてはほとんど言えない人が多いのではないでしょうか。感染経路は、接触感染、飛沫感染、(マイクロ)エアロゾル感染(エアロゾルの感染性については諸説があります)の3つであり、それぞれについて対策を合理的かつ科学的にとっているのか、口、鼻だけでなく目からも感染するということを知っているのか(眼鏡の重要性)、手洗いは、「消毒」と「洗浄」のどちらも重要であること、手指では指の合間、爪の中、手首までもを30秒以上かけて洗っているか、一つの窓を開けるだけでは換気は不十分なこと、会食は向かいよりも隣の方が注意すべきであること、濃厚接触者の定義の一つである15分以上の接触というのは「累積」であること、等々、基本に立ち返って反芻すべきことが多々あると思います。(それぞれについて学ぶにはたとえば厚生労働省等の種々のパンフレットにより詳細な説明がなされています。)第三には、最新情報を常に把握すること。スーパーコンピュータを用いたウイルスの伝染様式などについて昨今報道がなされていますが、そのような最新情報を常に知って、正しく怖がること。以上の3つをまずは考える必要があると思いました。

今の危機感あふれる状況を一日も早く乗り切って、栄えある2021年を皆様が迎えられますように、医療人として全力を尽くしたいと職員一同思っております。

2020年12月
赤羽中央総合病院・院長 廣 高史