冬の足音が聞こえて参りました。今年は誰もが実感しているように夏日が相当長く続きましたが、その後、いつ秋があったのかと思うほど急に冬がやってきた感じがします。地球の温暖化は、実は単に温度上昇だけではなく、季節の移り変わり方にも大きな影響を来しているとされていて、夏が長くなる一方で、春と夏は早めに始まり、秋と冬は遅く始まり、春、秋、冬はいずれも短くなり、とくに春と秋が短くなって、四季の国であった日本が二季の国になるのではないかとさえ言われています。このような変化は、気温変化に敏感な動植物に影響を与え、場合により人間の食料源の供給のあり方にも大きな変化をもたらす可能性があります。とりわけ農業や漁業への影響は大きく、植物の発芽や生育、魚類の活動分布などが大きく変化し、それに応じて栽培や捕獲のあり方も大幅に変えていかねばならなくなってきています。さらに、今までになかった熱波や山火事や台風やゲリラ豪雨など、生物の生存に大きなダメージを与えかねない気象事象にも備えねばならなくなってきています。
人間の健康もまた同じです。気象の変化、すなわち気温・気圧・湿度の変化によって人間の健康が大きく左右されることは周知の事実であり、地球温暖化に伴って健康管理の考え方も変えていかねばならないと言えるでしょう。夏に比べて、冬は種々の病気が発症しやすい季節ですが、ある研究によると昼夜の寒暖差が8度を超えると、急に心血管疾患が発症しやすくなると言われています。また低温環境で体温が下がると免疫力が落ち感染症にかかりやすくなるとも言われ、さらに、脱衣場とお風呂の温度差も激しくなるとそれに伴う血圧変動が著しくなり入浴中での死亡事故も確実に増えるとされています。これまでは、徐々に季節が移行していったため、このことへの対策もまた徐々に考えていけばよかったものが、昨今は急に寒い日がやってくるということになるわけで、それに応じた対策が必要であると言えます。
新型コロナウイルス感染症は今のところある程度落ち着いてきているようですが、インフルエンザやその他の感染症が一方で日増しに増えてきており、また寒くなるにつれて特定の外科的疾患や心血管疾患がこれから急激に増えてくるだろうことをあらかじめ予期しつつ、私共では地域の皆様の健康を守るべく、発熱者外来やER、緊急の外科手術や心臓カテーテル治療などが迅速に行える体制作りに日々努めているところです。